Out of Far East    

アジアの歴史、民俗、言語、暮らし、読書、映画鑑賞など  by ほおのき麻衣

歴史を扱った映画

戦争や革命や他国による侵略行為、植民地主義などを扱った映画が好きだ。ややもすれば暗い映画になりがちなので、直球で描いても集客が難しい。

表面的には甘い恋愛映画に見えるけれど、実は背景に描かれていることは歴史的な事象で、個人ではどうしようもないことに主人公たちが巻き込まれていったことがじわーっとわかるような作品が特に好きだ。

 

映画『風と共に去りぬ

日本ではこれから戦中に入ろうかという1939年に制作された映画ということが驚く。背景になっているのは南北戦争の時代で、黒人奴隷の労働抜きに成り立たない頃の南部の上流社会が描かれている。

勝ち気なスカーレットのアシュレーとレット・バトラーとの恋愛を取り巻くもろもろや、環境に順応するために底辺から這い上がっていく姿が描かれて、高校生のころ夢中になるぐらい本も映画も親しんだ。

この南北戦争時代に使われた大量の武器が、明治維新以降の日本に流れ込んだと読んだことがある。あり得るかな。

とにかく、南北戦争とはどういうものかと初歩がわかる映画だと思う。

 

映画『ドクトルジバゴ』

背景は第一次世界大戦ロシア革命。どちらかと言えばロシアの上流社会に生きる人たちの目線で描かれている。時々無性に見たくなる映画だ。原作はかなり分厚い本なので読むのは早々に諦めた。

社会が不安定な時に、誠実で情熱的な主人公の医師は二人の女性を対等に愛するという設定になっている。革命時だからあり得るのかな。

ロシア革命を描いた作品といえば、深い感動を呼び起こす音楽とともにこの映画を思い出す。

ロシア革命を扱った「サヨク」系の演劇を見たことがあるがなんか教科書的でピンとこない。映画『レッズ』も最後は感動したけれど好みではない。

 

映画『カサブランカ

この恋愛映画も味わい深くて好きだ。背景に第二次世界大戦中のドイツ軍によるフランスのパリ陥落の様子を描いている。好きな哲学者のハンナ・アーレントもこんな時代に生きたんだと思わせてくれる。

 

映画『人間の条件』

五味川純平の小説を映画化されたもので長い映画だ。背景は日本軍による満州国建設やシベリア抑留生活が描かれている。夫婦愛がメインに描かれていて、テーマの重さの割には読みやすい。文庫本を一冊ずつ購入して揃えていったことが懐かしい。

今見てもあの時代のことを考えさせてくれるいい映画だと思う。

 

映画『愛と悲しみの果て』

アイザック・ディネーセンの『アフリカの日々』を映画化したもの。第一次世界大戦が始まるころが背景で、当時のヨーロッパのアフリカをどういうふうに扱っていたかがわかる。

映画ではアフリカで農園を経営する女経営者と結婚という枠組みを嫌う男性との恋愛をメインに描いているけれど、原作はヨーロッパの植民地主義やアフリカの雄大な自然を描いていて映画とやや趣が違う。

実はこの本ハンナ・アーレントもお気に入りの一冊だったと読んだことがある。

 

映画『戦争と平和

背景にナポレオン戦争を描いている長編恋愛映画。アジアの片隅にいるとナポレオン戦争なんてなかなか知る機会がないと思う。原作の方はもう読む機会を失った。

 

映画『慕情』

1940年代の中国革命から逃げてきた難民でごった返す香港が舞台。映画では中国とイギリスとの混血であるユーラシアンの女医とアメリカ人ジャーナリストとの恋愛をロマンチックに描いているけれど、原作は国籍も違い、もっと内面に重きを置いているらしい。もう絶版になっている。

当時の時代背景を知るにはいい作品だと思う。

 

他に『尼僧物語』『誰がために鐘は鳴る』『レ・ミゼラブル』とか、今のところはこのぐらいしか思いつかない。そのものを描いた作品は他にもたくさんあると思う。

 

古い映画が多いのはブログの管理人が歳をとってきたということを表現しているとつくづく思う。それと戦争や革命を扱った作品自体あまりないというか売れないというのも理由だろう。