Out of Far East    

アジアの歴史、民俗、言語、暮らし、読書、映画鑑賞など  by ほおのき麻衣

釈迦の誕生日

釈迦の誕生日って知ってますか?

これに答えられる人は少ないんじゃないかな? 

 

キリストに誕生日があるのだから、当然釈迦にもあるはず。

今現在私がイスラム教の開祖であるマホメットの誕生日を知らないのと同じように、ある時期まで釈迦の誕生日を知らなかった。

 

平成の時代、子育てを通過したので、保育園には大変お世話になった。

入園前に子どもを保育園に預けないと成り立たない仕事は持っていなかったのに、幸いなことに自治体の方で仕方がないと判断されて紹介してもらえた。

それが浄土真宗のお寺が運営する保育園だった。

 

いい保育園だったと振り返るし、卒園式では式が始まるとボロボロ涙が出て困った記憶がある。当時一人で背負っていたものが重かったんだと思う。その園でのママ友の一人とは今でも付き合いがある。

 

で、日頃身近に仏教行事を体感する環境にないので、保育園の「仏の子」を育てるという保育理念が新鮮で興味もあった。

 

幼児用のかわいい数珠も各自が購入して持っていた。そして大事な仏教行事の際には本堂でお行儀よく座って参列する。その時に園のケープを身につけ、手には数珠を持つ。そういえば登園するときにお花を持参させる日もあった。

 

園長である住職のお経やお話を聞いたり、念仏を唱えたり、お釈迦さまの歌を歌ったりしたのだと思う。園としての年間行事とさらに仏教の年間行事も加わり、月一回ぐらいは何かと行事はあったんじゃないかな。

 

この保育園の周辺は戦前戦中から貧しい地域だったらしい。戦後まもない頃は近くに大きなマッチ製造工場があったともどこかで読んだ。

そんな頃にわが子の食べ物を求めて彷徨い歩く女性たちの姿に同情した住職が、子どもを寺で預かり始めたのが園として発展するきっかけになった。

今ではしっかりした仕事を持つ女性にとって頼もしい保育園になっている。

 

周辺は戦前からの「貧しさ」を若干引きずってはいたが、市の中心部であるビジネス街にもかなり近いし便利なエリアでもあるので、発展の余地はかなり残されていると当時の私の目には映った。せめぎ合ってる感じ。

 

で、この保育園時代に恒例行事として行われる灌仏会(かんぶつえ)を知った。この行事は花まつりとも呼ばれていて、釈迦の誕生を祝う仏教行事だ。

実際の誕生日かどうかは微妙なところがあるが、日本では4月8日を釈迦の誕生日として祝うことになっている。

この保育園に縁がなければ、誕生日どころか花まつりという言葉も知ることはなかったと思う。私だけとは思えない。ほとんどみんな知らないと思う。

 

日本は仏教の影響国の一つなのに、もう少し知名度があっても良さそうに思うけれど。

 

キリスト教に関しては全く逆で、クリスマス商戦とかクリスマスに関してイベントは町中に広がっている。それどころかハロウインとかバレンタインデイとか信者であるかどうかは関係なく定着している。これはこれで別に反対する理由はないけれど。

 

一般の日本人はキリスト教に信仰心がないので「遊べる」からだと思う。

だからその名前を借りてイベントを企画したり、飲んだり食べたりする場を気軽に作ったりできる。罪悪感もないし、感じる必要もない。

 

が、仏教ももう少し頑張らないと。気候がいい時なので、花まつり商戦とか花まつりには恋人とどこどこのお寺に行こうとか、どこどこのホテルで花まつりディナーを楽しもうとかあっても良さそうに思う。

 

敬虔なキリスト教信者はのぞいて、大多数は仏教徒だ。だから仏教で「遊ぶ」ことがやりにくい。道に外れたことをすればバチがあたるとか、ご先祖さまとも関係があるし、仏教からは心を少し「つかまれている」感じがする。リスペクトしているとも言える。

神社信仰は仏教とは競合しない関係にあり、むしろ共存していけると、個人的には思う。

 

で、仏教にもっと親しみをもつために、花まつりの認知を上げることが最初の一歩かなと思う次第。

 

ではでは