これからブログに不定期で載せていこうと思っている小説は、太平洋戦争末期の1944年(昭和19年)3月に始まった日本軍によるビルマ・インパール作戦を扱った作品である。
当時、三個師団10万人の将兵がこの作戦に参加し、ビルマ(現在のミャンマー)北部からインドのインパールへ向かうことになった。
だが、慣れない気候風土で、飢えと病と土砂降りの雨に苦しみながら敗走することになり、3万人もの将兵がその地で亡くなった。
ミャンマーの地に眠ったままの遺骨は今も多いと言われる。
現在このインパール作戦に直接参加した「老兵」は、年齢を考えるともうほとんど亡くなっておられると思う。
が、ミャンマーで戦中戦わねばならなかった曽祖父、祖父、父をもつ家族は意外に多いと思ってきた。兄や弟のことを触れる人も含めるとさらに増える。
考えてみれば、10万人の将兵たちそれぞれに家族がいたのだからかなりの数になる。
その中で、戦死した家族をもつ遺族の存在も忘れたくない。つらい思い出になるので、あまり口に出して語ろうとはしない人たちだったと思っている。
インパール作戦を描いた小説、映画は少ない。
あまりにも悲惨なので、直球で描いては読者や鑑賞者を得るには難しいと思ってきた。
ということで、ソフトな語り口で展開しながら、慣れない小説という手法で表現を試みた。
いまだにインパール作戦そのもをを扱いかねているところがあるが、「インパール作戦を題材にした短編」と思い出してもらえるような作品を作りたいと思ってきた。
考えるところがあり、原作者であるブログの管理人自らが公開した方がいいと思ったので、未完成の段階と言い訳を許していただいて公開します。
主な登場人物
矢島誠一郎 大手企業に勤める会社員。高校生と中学生の子を持つ父親。
澤村深雪 交流団体に勤める女性。在野の女性史研究家。
山崎次郎 澤村深雪の義理の叔父。戦争体験者。
矢島恵子 矢島誠一郎の妻。パート勤務。
矢島絹江 矢島誠一郎の母。
斉藤信雄 戦争体験者。
マー・ウィン ミャンマー人女性。現地の旅行ガイド。